今年も、うちのジャージー牛達は優秀賞に輝きました。
「乳質検定」というシステムがある。
1回/月実施される検査で、牛1頭1頭から搾れる牛乳の
成分(乳脂肪分、乳たんぱく質、体細胞数など)を数値化してくれる。
農家さん単位ではなく、牛単位なので、
どの牛が調子がいいか、悪いか、また給与飼料は妥当なのかなど
その分析結果を活用している。
そして、1年分の乳質検定の結果をもとに、
毎年開催されているのが「乳質コンテスト」だ。
我家のジャージー達は、そのコンテストで2年連続「優秀賞」を受賞している。
「なんって、素晴らしい子達なの!この、出木杉君め♡」
私は喜んだ。優秀な我が子を持つ幸せだ。
そして、この誉をなんとか牛達に伝えて、共に喜び合いたいと
考えてしまったのだ。
「そうだ、この表彰状を額に入れて牛の首から掛けて記念写真を撮ろう!」
私は、意気揚々と額を用意して、長めの紐をくくりつけた。
それを牛の元まで持っていき、
「おめでと~♡」と紐を首にまわそうとした。
ところが、牛は出来るだけ首を後ろにひねって、紐を掛けさせまいと
意思表示をしてきた。「い・や・だ」
私は浮かれていた。
「どおした、どおした~、誉だぜ~」などど、ほざきながら
執拗に紐をかけようとした。
逃げ回る牛達。追い回す私。
そして、やっとの事で紐が首にまわった瞬間
牛は渾身の力を込めて
「いっや~~~~~~~~~~!!」と
首を中心に体ごと振り乱し、額は四方八方に飛び回り
私は頭突きを食らった。
「ぎゃあ~!ごめん!KYでした!今解くからお願いいい、じっとしてえええ!」と
ロデオマシーンと化した牛の首に絡まった紐を
必死で解き、額はうんこの中に落下してカツンと小さな音を立てた。
「はあ、はあ・・・ご、ごめんなさい」
記念撮影は出来なかった。牛と喜びを共にする事も出来なかった。
だけど、本当に君たちは立派なんだよ。
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