家の牛、変な牛

牛は、言わずと知れた草食動物だ。 草食動物は、群れで行動する習性があるのも、 また言わずと知れた事である。 だけど・・ 家の牛は違う。変なんだ。 先日、夕方の搾乳を終えて牛を放牧地に放す時に 扉を一部閉め忘れていた。 「あれー!?」っと、一瞬焦っ…

2023年度 放牧開始だよ!!

5月4日、雲1つない快晴の中、 待望の、た~いぼうの、放牧開始日を迎えました!! 牛達は、三谷家のただならぬソワソワぶりを感じて 「今日は放牧開始の日だ!」と察していたようで 朝から猛烈に鳴いておりました。 「もおーー!!!」 そして、いよいよ解き…

雪の魔物と感謝と

厳しい寒波の到来で 毎年のことながら、目茶苦茶に積もった雪に 「厄介者」以外の感情を抱けなくなってくる。 雪の魔物は、大きくて広くて冷たい魔物絨毯で 牧場をズッポリと包んでしまうので、家の扉を開けるのも、車を出す時も 歩く事さえ、ままならなくな…

2023年 元旦

明けましておめでとうございます! 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 雪が多い冬です。 牛達はずっと牛舎でゴロゴロしております。 大きな体を横たえて、後ろ足を斜め後方に投げ出している姿は まるで有閑マダムのようです。 結構、暇しているらし…

イーが巨大子牛を産んだ夜の話

出産予定日を10日程過ぎている。 イーのおっぱいがポンポンに膨れ上がり、子牛の誕生を待っている。 子牛部屋も綺麗にして、フカフカの藁を敷き詰めた。 「それにしても、まだ産まないね。」 毎日毎晩、今か今かと待ちわびて、待ちくたびれてしまった。 産み…

牛にとっての三谷牧場はこうでなくてはならない

放牧が始まると、牛達の顔が明らかに和らぐ。 鼻先に、目元に、おでこのクルリン巻き髪に、背中に、お腹に、しっぽの先まで 高原の涼しく澄んだ風が優しく、青草の中へと抜けていく。 牛達が気持ちよくなって、ウトウトと目をつむる。 この顔がたまらなく、…

2022年 放牧祭!

待ちに待った、この日です! 三谷牧場では、1年で最も大切な1日! その名も「放牧祭!」 長く厳しい冬を乗り切った三谷家のジャージー牛達が 新緑の絨毯広がる大地へ駆け出す日、 なんかもう、いろんな感情をぜ~んぶ!解放するかのような高揚感です! 「退…

お先に春を

牧草地は「冬vs春の勢力図」だ。 10日ほど前までは、圧倒的冬優勢 一面真っ白に覆われて この勢いは永遠かのように思われた。 しかし、ここに来て、一気に春が攻勢に打って出た。 黄緑と薄茶が入混じった土の色が みるみる雪の白色を追い詰めていく。 春の逆…

黒金ちゃんとユキ

トラックが来たら 「来てしまった」と思ってしまう。 頭の奥に涙がじわ~っと広がる。 トラックが来るのは、いつも突然だ。 黒金ちゃんとユキが乳牛としての役目を終えた。 もう結構な年齢だったので、最近はパッタリと妊娠できなくなって 子牛を産まない事…

2022年 明けましておめでとうございます!

2022年は極寒スタートでした! 気温はマイナス15度前後、牛舎の扉も水も濡れタオルも み~んな凍てついておりました。 牧場は透き通った水色の雪に包まれた無音の世界。 身体の芯までスウウ~っと入り込んでくる冷気。 牛達は牛舎で体を縮めて搾乳の時を待っ…

初雪でした

おお~~・・・ やっぱり、ちゃんと季節はめぐる。 例年よりも20日程遅かったので、 「ひょっとして、来ない?」と期待しちゃったじゃないか! 私の微かな、淡い、儚い、ささやかな、希望をぶち壊された11月24日の朝でした。 24日は、目が覚めたら、窓の向こ…

サンレイポケット号

競馬のイメージって、 「オジサンが耳に赤鉛筆を挟んで スポーツ新聞を左手に、右手で頭を掻きつつ それはもう、必死の面持ちで馬券を選定している」というもの。 とろこがである。 その昭和なイメージの競馬像が180度回転、 なんというロマン、なんという煌…

除角。

牛は大人になれば角が生える。 男でも女でも立派な角が生える。 自然界では、強力な武器になるけれど、酪農界ではまさに凶器だ。 我家は放牧しているので、特に危険。 牛達は皆、仲良しだけど、たまには喧嘩もしている。 そんな時に、角があったらお互い大怪…

金のヨーグルトのソフトクリーム

長らく、ソフトクリームには抵抗があった。 「甘くしたら、どんな牛乳で作ったって同じものになるやん。」 確かに、その通りだと思っていた。 だから、我が家の牛乳でソフトクリームを作る事には抵抗があったのだ。 我家には 「三谷牧場のジャージー牛乳の「…

ドンマイ!

「そうだ、穴を掘ろう」 唐突に思い立ち、車庫の後ろ側を掘り始めたのは 昨年秋ごろだった。 コロナ禍で、他に何するでも無いという状況だったので せっかくなら、有意義な事をしたいと思ったのだ。 有意義な事・・・。 穴は貯蔵庫になる。熟成庫になる。 夢…

2021年度 放牧初め!

今年も待ちに待った、この瞬間がやって来た! 放牧初めだ~~~!!! 北東北の冬は長く厳しい・・。 全く不毛だった大地が、突然色めき立つ。 黄緑色の草木が、ぶわ~~~っと ため込んでいたエネルギーを吐き出し、 ぶわ~~~~っと、一気に芽吹き出すの…

「ちび」の退屈しのぎ

長い冬ごもり生活も、あと1か月ほどで終了だ。 奥中山の桜はまだ、ウンともスンとも言わず、 小ちゃな蕾は沈黙状態だけど、 それでも春は近い。 風がほわっといい匂い。 そんな春風に刺激されたのだろう。 冬の牛舎生活は「寝る→起きる→食べる→寝る」という …

ベル婆ちゃんは金のヨーグルトが大好き

youtu.be 我家が作る「金のヨーグルト」は 動物達にも評判が良いと聞く。 ヨーグルトを定期的にお届けする「定期便」をご利用のお客様の中にも 人のみならず、ペットの皆様まで 届くのを楽しみにしてくれている、というお話を聞き、 つくづく「あ~、幸せだ…

ベル婆ちゃんは金のヨーグルトが大好き

youtu.be 我家が作る「金のヨーグルト」は 動物達にも評判が良いと聞く。 ヨーグルトを定期的にお届けする「定期便」をご利用のお客様の中にも 人のみならず、ペットの皆様まで 届くのを楽しみにしてくれている、というお話を聞き、 つくづく「あ~、幸せだ…

2021 あけましておめでとうございます!

明けましておめでとうございます!本年もどうぞよろしくお願い申し上げます! 2021年は、色々な意味で堪える事からの始まりです。 昨年に引き続き、コロナ禍の忍耐もさることながら、 このお正月は、強烈な寒波に耐え忍んでおりました。 もう、なんというか…

マップとオージー

お母さんが一緒。 お父さんも一緒。 だから姉妹で、 だからっていう訳ではないだろうけど、 2頭ともジャージー牛では珍しく、白茶のまだら模様。 マップが生まれた時は 初めて見る白茶のコントラストに見とれて、 小さな横腹をゴシゴシ拭きながら まるで世界…

2020年11月4日 初雪です・・。 ちっとも嬉しくない。 猛暑だコロナだ大統領選だって、世の中騒がしいけれど やっぱり来るものは来るんだな~・・・・。 雪かきや、家屋の破壊行為(雪による)や、冷え性を考えると とても気が重い。 重い気持ちの時は牛舎へ…

まみっこ

三谷牧場のご近所さん 「K田さん」「Kミさん」「Mギさん」「Kオさん」 そして「まみっこ」。 「まみっこ」はのんびり屋さんで、食いしん坊。 そろそろ、実りを迎える栗やドングリが大好きで、 一心不乱に拾ってモグモグ食べる。 うっかり見つかると、驚…

「アニマルさん」を全うするという事だ

我家で12年もの間頑張ってくれた「アニマルさん」が 雫石町の中屋敷牧場で半年間の再肥育を経て この度、お肉となって帰って来た。 帰って来たというと語弊があるかもしれない。 「アニマルさん」のお肉を ㈱宝山の荻澤さんが、信頼するシェフの元へ出荷し、…

マルちゃん、また来てね。

あんなに強い子だったのに。 三谷家で一番の暴れん坊で、小さい時は水飲みバケツを5個も壊して 牛舎の壁にも3か所も穴を空けて・・。 長じてからは、意図的に人を蹴る唯一の牛になった、マルちゃん。 搾乳に入る前に、必ず、横目で様子を覗ってから 「今だ!…

日本ミツバチ

最近、ポストを開けるたびに お手紙の上に日本ミツバチがひっくり返っている・・。 今日も、ハガキの上で 小さな足を上に向けてジタバタしていた。 ぶぶぶぶぶ・・・! そして、くるりとまるっこい背中を見せて ふぅわぁ~・・と、綿毛のように飛んでいく。 …

リモート・ワイン&チーズセミナー

外出自粛が続く中、 盛岡市在住のソムリエ・富士子さんが講師をお勤めのセミナーで 岩手県産のチーズを組み込むという形で予定されていた 「ワイン&チーズセミナーin盛岡」が開催できなくなった。 半年前から予定されていたもので、 三谷家は「チーズ生産者…

2020放牧初めの日!

今年も放牧が始まった! 牛も三谷家も、待ちに待った、この日! 窮屈な牛舎暮らしから解放された瞬間、牛達の目がキラキラ輝き、 1年のうちで、1度しか、今日しか見られない大技 「喜びのハイジャンプ!」を披露してくれる! 牛達の全身から「ぃやっほお~~…

新型コロナウイルスが猛威を振るっている。 あっという間に世界中を席捲してしまった。 世の中の動きが止まり、皆じっとしている。 そして、沢山の人々が逼迫していく。 当然ながら、我家も影響を受けて 「おいおい、どうすんのよ?」なんて 赤提灯の店で世…

牛も美しい音が好きだった

三谷家は揃って音痴だ。 リズム感、音程共に、大幅に外れた鼻歌などは ほぼ原形を留めないというか 何を唄っていたのやら自分でも分からなくなる程だ。 そんなだから、牛と共に暮らし始めて16年間 牛達にまともな音楽を聴かせた事がなかった。 そんな三谷牧…