「アニマルさん」を全うするという事だ

我家で12年もの間頑張ってくれた「アニマルさん」が

雫石町中屋敷牧場で半年間の再肥育を経て

この度、お肉となって帰って来た。

帰って来たというと語弊があるかもしれない。

「アニマルさん」のお肉を

㈱宝山の荻澤さんが、信頼するシェフの元へ出荷し、

その一部を、三谷牧場にも届けてくれる。

「アニマルさんのご帰還です」という言葉を添えて

戻って来たお肉を見ると、ほんのりクリーム色の脂身を淵にまとった

深く重たい紅色の赤身肉で、それは噛むほどに味わいがあって

「12年生きてきた」そんな積み重ねをひしひしと感じるお肉だった。

12年もの間、色々あったもんね、アニマルさん!

沢山、優しい気持ちにしてもらった!

ハプニングもあった!

マロンが弱り切ったアニマルさんを踏んずけて

「う~ん・・」って、諦め顔だった時は、思わず笑っちゃったよ!

その後が凄かったよね!

アニマルさん、凄い根性見せて、み~んなびっくりだったよね!

我家で大活躍していた時のアニマルさんを思い出しながら

深紅のお肉を眺めると、何とも言えない気持ちにもなる。

だけど、皆様に「本当に美味しいです。アニマルさんありがとう」と

言って食べてもらう事で、きっとこれが集大成なんだと思う。

無下に捨てられたり、粗末に扱われたりする乳牛の末路だって

世の中にはあるのだ。

アニマルさんは、やり切ったのだ。

最後の最後まで、アニマルさんとして食べてもらう事で

アニマルさん人生(牛生)をやり遂げたのだ。

私は一昨日、アニマルさんのお肉をいただいた。

微塵も取りこぼさないように、しっかり噛みしめて食べた。

アニマルさんの根性が、私の中で息づきますように。

天国でアニマルさんが、他の誰かに

「君、前は何してたの?」と問われた時に

「アニマルさんだよ!」って自信たっぷりに答えてくれていたら

いいな。