震災から半年

9月11日
震災から半年が経った。
我が家の生活はすっかり元通りになった。
たわいもない日常を「たわいもない」と感じる事ができるまでに・・。
ところが、沿岸部は、まだまだ復興もままならないのだ。
あれから半年、自分の中で次第に薄れていったものに
ハッとした。
恐怖心も感謝の気持ちも。
陸前高田市の臼井さんは
漁を再開してからとうもの、我が家にもお魚を届けて下さっている。
我が家も、金のヨーグルトをお送りしている。
我が家の食卓は、臼井さんが獲った海の幸が並ぶと
皆、猫のように「うまい、うまい」と食べつくしている。
「我が家は幸せだね。こんなに美味しいお魚を頂けて」と
大満足でご馳走様をした直後だった。
臼井さんからお電話を頂いたのだ。
臼井さんがおっしゃった言葉に、凄くショックを受けた。
「つい先日ね、盛岡さ用事で行ったのさ。
 そしたら、夜もビカビカって明るくてさ〜、
 私ら津波で流されてっけから、何もないもんね〜、
 だから、目がクルクル〜って回ってしまったんだよお〜。
 ああ、世界が違うみたいだったっけね。本当にビックリしたんだよお〜。」
そっか、まだそうなんだって
こちらが元に戻ったから、沿岸部も戻りつつあるって
どこかで妄想していた自分に驚いた。
みんな流されてしまったんだもん、そんなにすぐに直るはずない。
半年経って、沿岸部の方々には
改めて「疲労感・喪失感」が漂い始めているという。
むしろ、半年経った今だから。
「お魚美味しい」って言ってる場合じゃないと思った。
薄れていく感情を恥じながら、
10年かかるかもしれない
20年かかるかもしれない、
東北全ての人の「たわいもない日常」を取り戻すために
改めて長期戦の構えをとるべきなんだ。
被災地の惨状を今一度見るべきなんだ。