安さん


去年の3月に産まれた子。
今月で10ヶ月になる。
この子は、本当にヤンチャで、
生後2ヶ月くらいから、チョクチョク逃亡を繰り返し、
「放牧酪農」の域を大きく飛び越えて
「放任酪農」の先駆者となった。
以前、妻と対決の後、我が家の愛車トヨタハイエース
正面衝突をするなど、
何かと話題の尽きない子である。
ただ、何となく・・・
名前が付かなかった。
あまりに個性的過ぎて、ありきたりの名前は付けれなかったのだ。
頭の良い子で、
普段はヤンチャで逃げ回ってどうにも捕まえれないのだが、
ある日、酪農家全戸対象の
牛の伝染病検査があった時には
夫はお出かけしており、妻だけが獣医さんの対応をしていた。
「おい!あの子牛も検査対象なんだ!
 早く、捕まえろ!」と・・・
獣医さんに怒られる妻。
「無理です。あの子を捕まえる事は、私には不可能です。」
とキッパリ断る妻。
じゃあ、どうするんだ!
お前の牛だろうがっ!
・・・と当然窮地に立たされる結果となった妻。
ここで捕まえないと、きっともっと怒られるゥ。
ところが・・
その一部始終を見ていた子牛は、
既に逃げ回って、遠くにいたのに、
トコトコと妻に歩み寄って来て
自らの首根っこを妻の手元に差し出したのだった。
「えっ!?捕まってくれるんですかっ!?
 ・・・あの〜・・捕まえましたァ。」
とその場を納めた事がある。
(妻は何もしていない・・・)
そんな、愛すべき我が家のアイドルの事を
定期購入して下さっているお客様に
お品物に添えるお手紙でよく紹介していたら、
「安さん」というお客様が
「この子に、ぜひ私の名前を付けてあげて!」と
申し出て下さった。
「安さん」
とっても素敵な名前です♪
お茶目で、個性的な所が人間の「安さん」によく似ている。
我が家の牛で、初めて「名前」を譲り受けた牛です。
「安さん」
きっと素晴らしい成長を見せてくれるでしょう。