春を待つ

今年の冬も、雪が多い。
ここは、スキー場の近くだけあって
暖冬でも、やはり、深雪。
牛のムネの辺りまで積もっており
牛達は、降り始めの頃から踏み固めてきた狭い面積の
所しかお散歩出来なくなってしまった。
たまに、新雪に果敢にも挑んでいる子もいるが、
ドサドサと雪に埋まって行き、
やがて途中で身動きが出来なくなり
ニッチモサッチモいかなくなって
「おい・・困った」と三谷に助けの目を向けている。
三谷は・・・助けるのは寒いので
「知らんぷり」を決め込む。

そんな大人の駆け引きの後、
前後にユルユル動いて脱出している。
最近では、牛舎にいるのもツマラナイ
かといって、外にででも真っ白。
すっかり飽きてしまったようだ。
ただひたすら、ぼんやりと遠くを見つめながら
立っている事が多くなった。
じっと、遠くを見ている。
じ〜っと、春を待っているかのようだ。

三谷も時々、牛と同じ方を見てみるが、
やはりまだ白銀の世界が広がるばかりで、
「お〜、寒い!」と引っ込むのであった。
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