ベル婆ちゃんは金のヨーグルトが大好き

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我家が作る「金のヨーグルト」は

動物達にも評判が良いと聞く。

ヨーグルトを定期的にお届けする「定期便」をご利用のお客様の中にも

人のみならず、ペットの皆様まで

届くのを楽しみにしてくれている、というお話を聞き、

つくづく「あ~、幸せだな~」と感じる。

本能的に「これは良い!」って思ってくれているのかな~とか

前向きに想像する。

上記の動画の「ベルちゃん」も、そんな金のヨーグルト大好き犬の一人(匹)。

「ベルちゃん」なんて呼んでいるけれど、

犬年齢では80歳くらいのお婆ちゃんなのだそうで、

私より40歳も年上の大先輩さんだ。

「ベル婆ちゃん」である。

普段は寝心地の良い座布団の上で、ちんまり寝っ転がって

何事にも無気力、ほぼ寝たきりで、ちょっぴりボケ老人でもある

ベル婆ちゃんなのだそうだが、

飼い主さんが、金のヨーグルトを冷蔵庫から取り出した瞬間

普段からは想像も出来ないような

瞬発力を発揮して「わん!わん!わお~ん!」と

金のヨーグルトに走り寄って来るのだそうだ。

若返る、ベル!ハッスル・ベル!いいぞ、ベル!・・である。

容器に顔を突っ込んで、むさぼるベル婆ちゃん。

もう目元まで隠れてしまって、顔が容器になっている。

こんなに、夢中になってくれている。

って・・どんどん顔を突っ込んでるよ?

取れなくなったりしないかな~って、心配しちゃうくらいだ(笑)。

そんな金のヨーグルトに夢中になっているベル婆ちゃんの動画を、

夢中になって観ている。

あ~、幸せだな~。

 

2021 あけましておめでとうございます!

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明けましておめでとうございます!本年もどうぞよろしくお願い申し上げます!

 

2021年は、色々な意味で堪える事からの始まりです。

昨年に引き続き、コロナ禍の忍耐もさることながら、

このお正月は、強烈な寒波に耐え忍んでおりました。

もう、なんというか、寒すぎました。

ほんのり青白い空と雪が、牧場を上から下まで覆いつくして

音もなく、分子レベルで・・いや、原子レベルで全ての動きが

止まってしまったような空気感でした。

 

そして、この寒波の攻撃がひたひたと始まったのです。

まず、寒波が狙いを定めたのは「給湯器」でした。

お台所やお風呂等々、お湯を使っている最中から

「給湯エラー」の表示が点滅しだして、三谷家の度肝を抜きました。

使用中に、屋外の配管が凍り始めるという荒業でした。

さすがに、使っている間は水の流れがあるので、

この状態で凍るというのは初めての事でした。

これは、お湯を含ませたタオルを巻き付けてなんとか凌ぎました・・・。

「寒波、やるわね・・!!」

敵の力量を目の当たりにした瞬間でした。

そして、敵のさらなる攻撃目標は

「搾乳機」「牛の水飲みカップ」「洗濯機」という牛舎の3種の神器でした。

早朝、牛舎に行ったら既にカチコチに凍り付いていました・・。

凍結防止で水は流しておいたし、作業室ではストーブも点けておいたのですが。

温度計を見ると「マイナス19度」・・。

「完敗だぜ・・。寒波君に完全敗北。」

もう、なす術も無く佇んでしまいました。

でも、ただ佇んでいると凍死しちゃいそうになりますので

すぐさま「ウ~!!ウ~!!」と唸り声をあげつつ

内臓を鼓舞するのでした。(唸ると体の芯が結構温められる)

 

こんな寒さの中でも、牛達は実に悠然としていて

「今は堪えて、堪えて、堪えるんや!!」って優しく笑ってくれたのでした。

ため込んでいる運を一気の使う年が2021です。

とても楽しみです。

マップとオージー

お母さんが一緒。

お父さんも一緒。

だから姉妹で、

だからっていう訳ではないだろうけど、

2頭ともジャージー牛では珍しく、白茶のまだら模様。

マップが生まれた時は

初めて見る白茶のコントラストに見とれて、

小さな横腹をゴシゴシ拭きながら

まるで世界地図を広げているようだなって思って

それで、マップと名付けた。

オージーが生まれた時は

「今度生まれてくる子は、牛床に空きが無いから

 雌であっても、家には置いておけないからな!」と

断言していたのに、

やっぱり、その白茶のコントラストに悩殺されて

「え~、今日生まれた子牛は~、我家で頑張ってもらう事にしました~」と

電光石火の掌返し!で、三谷家の仲間になった。

あんまり鮮やかな掌返しで、笑ってしまった。

そして、ヨーグルトの定期便のお客様が

オーストラリア大陸みたいな柄ですから、オージーという名前はいかがでしょう?」と言って、素晴らしい名前を付けて下さった。

マップもオージーも、その特別な容姿と

気高くもチャーミングな瞳で、

長らく「三谷家の姫」として君臨していた。

けれど、どうやら、この姉妹は遺伝的に受胎しにくいようで

2頭とも、なんだかんだ言って2年も空胎で

子を産まないから、どんどん搾れなくなって

要するにに経営的にはお荷物になってしまった。

そして、とうとう手放す決断をするに至った・・。

雫石の中屋敷さんが、大きなトラックで2頭を引き取りに来た日・・。

前々から覚悟していた事なのに、その日は突然やって来たように思えた。

マップもオージーも、トラックに載せられたところで

「いやだよ!帰る!」と言って、牛舎に引き返そうとしていたけれど、

ロープで括られていて、思うようにいかなくて

じっと私をみつめた。

中屋敷さんの所に行くのなら、それが1番なのよ」って思ったけど、

マップとオージーには、言わなかった。

2頭がいなくなった牛舎は、酷くスッキリしてしまった。

もう世界地図もオーストラリア大陸も、ない。

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2020年11月4日

初雪です・・。

ちっとも嬉しくない。

猛暑だコロナだ大統領選だって、世の中騒がしいけれど

やっぱり来るものは来るんだな~・・・・。

雪かきや、家屋の破壊行為(雪による)や、冷え性を考えると

とても気が重い。

重い気持ちの時は牛舎へ行く。

そして、牛のお鼻の横にそっと触れる。

大きく澄んだ目をした牛が、撫でられるままにじっとしてくれる。

牛のお鼻の横の、柔らかくって、ちょうど良くあたたかくって

ふにゃふにゃした皮から、

指先に伝わってくる感触がたまらない。

「お鼻の横、最高~♡」

指の第二関節くらいまでの小さな箇所

最近見つけた、癒しスポットだ。

今年は、来る不毛の冬を、これで乗り切ろうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

まみっこ

三谷牧場のご近所さん

「K田さん」「Kミさん」「Mギさん」「Kオさん」

そして「まみっこ」。

「まみっこ」はのんびり屋さんで、食いしん坊。

そろそろ、実りを迎える栗やドングリが大好きで、

一心不乱に拾ってモグモグ食べる。

うっかり見つかると、驚いて逃げようとするけれど、

「あっ、あと1個!」といって、少し逃げ出しかけた足を戻してまで

ササッと1粒くらい適当に咥えて

モタタタ~・・っと走って行く。

さらに、まみっこは、運動神経が鈍いらしい。

(本人は)猛ダッシュで逃げているが、とても遅い。

たまに、ぬかるんだ土を踏んでズコッとこけたりもする。

坂を駆け上がろうとして、ずり落ちてきた事もある。

 

そんな「まみっこ」に、また会った。

夜に車を走らせていた時の事だ。

道路の真ん中で「まみっこ」が鼻をスンスンさせながら歩いていた。

車に気が付いて「それ!逃げろ~」・・と思ったのはいいと思う。

しかし、道路をまっすぐ向こうに走って逃げる「まみっこ」。

いつまでたっても、車(私)の目の前を丸くてぷりぷりしたお尻が走る・・。

時速2km程で走る、車と「まみっこ」。

やがて「まみっこ」は口を大きく開けて

「ち・・ちょっと休憩ね・・はあはあ。」と立ち止まってしまった。

そして、ようやく道路わきへと逸れて行って

「さようなら。またね。」

 

今まで絶滅しなかったのが、不思議だな~。

もしかして「まみっこ」には何か特殊な才能があるのかもしれない・・?

岩手では「アナグマ」の事を「まみっこ」と言うそうだ。

「まみっこ」!

 

 

「アニマルさん」を全うするという事だ

我家で12年もの間頑張ってくれた「アニマルさん」が

雫石町中屋敷牧場で半年間の再肥育を経て

この度、お肉となって帰って来た。

帰って来たというと語弊があるかもしれない。

「アニマルさん」のお肉を

㈱宝山の荻澤さんが、信頼するシェフの元へ出荷し、

その一部を、三谷牧場にも届けてくれる。

「アニマルさんのご帰還です」という言葉を添えて

戻って来たお肉を見ると、ほんのりクリーム色の脂身を淵にまとった

深く重たい紅色の赤身肉で、それは噛むほどに味わいがあって

「12年生きてきた」そんな積み重ねをひしひしと感じるお肉だった。

12年もの間、色々あったもんね、アニマルさん!

沢山、優しい気持ちにしてもらった!

ハプニングもあった!

マロンが弱り切ったアニマルさんを踏んずけて

「う~ん・・」って、諦め顔だった時は、思わず笑っちゃったよ!

その後が凄かったよね!

アニマルさん、凄い根性見せて、み~んなびっくりだったよね!

我家で大活躍していた時のアニマルさんを思い出しながら

深紅のお肉を眺めると、何とも言えない気持ちにもなる。

だけど、皆様に「本当に美味しいです。アニマルさんありがとう」と

言って食べてもらう事で、きっとこれが集大成なんだと思う。

無下に捨てられたり、粗末に扱われたりする乳牛の末路だって

世の中にはあるのだ。

アニマルさんは、やり切ったのだ。

最後の最後まで、アニマルさんとして食べてもらう事で

アニマルさん人生(牛生)をやり遂げたのだ。

私は一昨日、アニマルさんのお肉をいただいた。

微塵も取りこぼさないように、しっかり噛みしめて食べた。

アニマルさんの根性が、私の中で息づきますように。

天国でアニマルさんが、他の誰かに

「君、前は何してたの?」と問われた時に

「アニマルさんだよ!」って自信たっぷりに答えてくれていたら

いいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

マルちゃん、また来てね。

あんなに強い子だったのに。

三谷家で一番の暴れん坊で、小さい時は水飲みバケツを5個も壊して

牛舎の壁にも3か所も穴を空けて・・。

長じてからは、意図的に人を蹴る唯一の牛になった、マルちゃん。

搾乳に入る前に、必ず、横目で様子を覗ってから

「今だ!」と鋭い一蹴を1度だけ浴びせてくる。

こちらだって、それなりに反応して

「それ来た!」とその一蹴をヒラリとかわす。

搾乳前の1度きりの、せめぎ合い。

そんな応酬に、いつも舌打ちしてから搾り始める・・。

二度と帰らぬ、あの日々を、今はひたすら懐かしく思う。

 

マルちゃんが、子牛を産んだのは今年の3月、

7時間に及ぶ難産の末に生んだ子は、滅多にないくらい大きな子牛だった。

マルちゃんは、それが原因で腰の神経を痛めてしまったらしく

後ろ足が伸び切って、力が入らなくなり、立てなくなってしまった。

その時は、まだマルちゃんの目はしっかりとしていて

立てないながらも、両隣の牛達を威嚇するほどだったので

「きっと、いずれ立てるようになる・・」と思ってた。

そう信じて、毎日2回、腰骨を挟んで滑車で上に引っ張り上げるように

立たせる訓練をしながら、後ろ足の回復を待ったけれど、

今度は前足にも力が入らなくなってしまい

マルちゃんの目には自信が見られなくなってしまった。

そして、とうとう精魂尽きたように死んでしまった・・。

プライドの高いマルちゃんだったから、吊り上げられるのが屈辱だったのだろうか・・。

痛くて、苦しくて、もう嫌になってしまったのだろうか・・。

後ろ足には、わずかに回復の兆しは見られたものの、結局

マルちゃんの精神力の方が先に尽きたみたいだった・・。

 

我家で乳牛としての道を全うさせてあげられなかった。

大きすぎる子牛を、産ませてしまった。

最後まで「ふん!」と、顔を斜めに構えていたマルちゃん。

再び大地を踏ませてあげられなかった。

搾乳の度に、とんでくるマルちゃんの足を思う。

3回に1回は蹴られて、呻いていた日々を思う。

「おい、マルよ~。もう一度、蹴ってくれよ~。」

マルちゃんの居なくなった牛床で、主人が呟いた。

 

マルちゃんの死から数か月が経つ。

このブログは、我が家の歴史を綴るものだ。

だからマルちゃんの死も、ちゃんと記録しなくてはならなかったのだけど

この数か月、どうしても、どうしても

書く気になれなかった。

自分達の力及ばずの結果を、素直に受け止めれなかった。

だけど、先日、マルちゃんの子供のチビマルちゃんが

双子の赤ちゃんを産んでくれた。

マルちゃんの血を引くチビマルちゃんが、双子を産んだ!

ああ、こうして、引き継がれていくんだな。

こうやって、生きていくんだな。

牛と共に生きているんだな。

そう思って、マルちゃんの死を受け止めた。

マルちゃんという、暴れん坊のかわいい奴がいたんだよって

ちゃんと、記録しなくちゃ。

次に繫がるために。