煙突マンション

昨年新調した
我が家の薪ストーブ。
家屋にピッタリと寄り添うように
高さ3mの煙突が立っている。
紅葉も散り始め、
「冬」「雪」という恐ろしい言葉が
頭をもたげ始めたので、
先日は家族でストーブのメンテナンスを
行ったのでした。
ストーブの中を綺麗に掃いて、
煙突をバラして、ブラシでゴシゴシ・・
擦るほどに、去年のススがパラパラ、ゴロゴロと
落ちていき、気分爽快である。
そして、家屋の外に突き出て、空に伸びていく手前の直角部分を
解体した時だった。
煙突の中に藁の塊がゴッソリと詰まっているではないか!
「こ・・これは!!」
引っ張り出してみると、羽毛が沢山絡まっている。
「鳥の巣だ!!」
この筒の中で、小鳥の家族が暮らしていたのだ。
ここは暖かい安全地帯だったに違いない。
「・・・ですが、容赦なく撤去します。」
結婚、出産、子育てをした思い出の場所を
無下もなく取り払ってしまうのは、罪悪感を
感じずにはいられないが、ここに居座られては
煙が通らず、煙突が機能しなくなってしまうのだ。
「ごめん!小鳥!」
そんなこんなで、ばっちりメンテナンスを終え、
昨日、ついに「すこぶる寒い夜」がやって来た。
「じゃじゃ〜ん!初点火!2014!」と
意気揚々と薪に火をくべたとたん、
あっという間に、ストーブからモクモクと
湧き出てくる白煙に燻されてしまった。
「わ〜!あ〜!ゴホゴホゴホッ!わ〜!あ〜!ゴホゴホゴホッ!」
何が何だか分からないまま家の中を逃げ回り、家族全員が燻製臭くなり、
その晩は寒さに耐える最悪の夜となった。
次の日、疑心暗鬼のまま
はしごをかけて、煙突の頂上を覗いて見たところ、
なんと頂上にも立派な鳥の巣が!
なんと、2階建構造だったのである!
「くっ!同情して損した!」と
今度こそ無下もなく巣を叩き落としたのでした。
きっと、小鳥は毎年巣を作りにくるだろう。