ドンマイ!

「そうだ、穴を掘ろう」

唐突に思い立ち、車庫の後ろ側を掘り始めたのは

昨年秋ごろだった。

コロナ禍で、他に何するでも無いという状況だったので

せっかくなら、有意義な事をしたいと思ったのだ。

有意義な事・・・。

穴は貯蔵庫になる。熟成庫になる。

夢を膨らませて掘り進めたけれど

土質がポロポロしていて、上から土が崩れてきて

想像以上に、なかなか大変な作業だった。

ひいこら、ひいこら、夫と二人で掘り続け

ようやく幅1m程の空洞を完成させた。

そして「ここを雪むろにするぞ!」と

るんるん♪でジャガイモと大根を収納した。

雪むろの中で野菜が糖度を増し、とびきり美味しい芋と大根になって、

我が家の食卓を飾ってくれるだろう・・と

なんて有意義な事をしているのだろうか、と思ったのに。

 

すっかり、その存在を忘れて過ごす事、半年。

「そうだ!我らが雪むろのお野菜はどうなっているかしらん♪」と

掘り返してみた。

お野菜の姿は、どこにも見当たらなかった。

 

どうやら、土に還ってしまったようだ・・。

土の一部に、やや「ナメクジ」のような、ねちょっとした部分が発見された。

「ああ・・きっとこれ、ジャガイモと大根だったんだ・・。」

地道に掘った穴は、完全に崩れて塞がっていた。

 

ドンマイ!って自分に言ってあげる事にした。

 

2021年度 放牧初め!

今年も待ちに待った、この瞬間がやって来た!

放牧初めだ~~~!!!

北東北の冬は長く厳しい・・。

全く不毛だった大地が、突然色めき立つ。

黄緑色の草木が、ぶわ~~~っと

ため込んでいたエネルギーを吐き出し、

ぶわ~~~~っと、一気に芽吹き出すのだ。

そうなると、牛達は黙っていられなくなる。

若草の薫りが鼻先をくすぐると

「MOOOOOO!!!」というか「GOOOOO!!」というか

とにかく「出してくれ~~~~!!」と怒号の嵐となる。

そして、ついに5月5日

牛達の首元に繋いであったチェーンを外してあげた!

「YEAH~~~~~!!!」みたいな声をあげて

我先に飛び出して行く~~~!!!

 


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こんなに大胆で俊敏な動きは、はっきり言って今日だけ。

1年で1回だけ見せてくれる「大喜びの乱舞」なのだ。

さらに牛達は、草が生えていない土部分を見つけて

顔をグリグリ擦りつけたり、2~3頭の牛は土をムシャムシャ食べたりする。

まるで春の大地を味わい尽くせ!!と言うように・・。

「この瞬間を満喫したい!体中で浴びたい!!」という気概が伝わってくる。

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北東北の冬は長く厳しいから、

草木も牛も虫も、必死である。

草木は、ここぞとばかりに成長し、

牛達は、これでもかっていうくらい乱舞し、

虫達は、当たり構わず飛び回る。

この瞬間にこそ、ここに居る意味を見出しているようだ。

この「春」のひとときがあるからだ。

 

ちなみに、午前中に放牧開始したのだが

午後には皆「満腹と満足」でゴロゴロしていた。

半日で、ぐうたらジャージー牛に戻っちゃった。

 

 

 

「ちび」の退屈しのぎ

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長い冬ごもり生活も、あと1か月ほどで終了だ。

奥中山の桜はまだ、ウンともスンとも言わず、

小ちゃな蕾は沈黙状態だけど、

それでも春は近い。

風がほわっといい匂い。

 

そんな春風に刺激されたのだろう。

冬の牛舎生活は「寝る→起きる→食べる→寝る」という

誠に単調な生活で、牛達もすっかり退屈していたみたい。

「ちび」という若い牛が、困った遊びを思いついてしまった。

「ちび」は足元に這わせているゴム管を

つま先でツンツンと突いたり、ゴシゴシと擦ったりして暇を潰し始めたのだ。

そして、とうとうゴム管が裂けて、水が噴き出すという事件となった。

「ちび」の目の前に、即席の噴水がぴ~っと一筋、吹きあがっていた。

 

ふわふわと心地よい春風がそよぐたびに

「ちび」の心はうずうずと振動する。

「あ~、お外で遊びたいな~」って、大きな目で牧草地を見る。

牧草地にはまだ、生き残りの雪塊が点在している。しつこいな。

早く広い牧草地の上を、思い切り走り回らせてあげたいな。

 

春はゆっくり近づいて来る。

 

 

ベル婆ちゃんは金のヨーグルトが大好き

youtu.be

我家が作る「金のヨーグルト」は

動物達にも評判が良いと聞く。

ヨーグルトを定期的にお届けする「定期便」をご利用のお客様の中にも

人のみならず、ペットの皆様まで

届くのを楽しみにしてくれている、というお話を聞き、

つくづく「あ~、幸せだな~」と感じる。

本能的に「これは良い!」って思ってくれているのかな~とか

前向きに想像する。

上記の動画の「ベルちゃん」も、そんな金のヨーグルト大好き犬の一人(匹)。

「ベルちゃん」なんて呼んでいるけれど、

犬年齢では80歳くらいのお婆ちゃんなのだそうで、

私より40歳も年上の大先輩さんだ。

「ベル婆ちゃん」である。

普段は寝心地の良い座布団の上で、ちんまり寝っ転がって

何事にも無気力、ほぼ寝たきりで、ちょっぴりボケ老人でもある

ベル婆ちゃんなのだそうだが、

飼い主さんが、金のヨーグルトを冷蔵庫から取り出した瞬間

普段からは想像も出来ないような瞬発力を発揮して

「わん!わん!わお~ん!」と

金のヨーグルトに走り寄って来るのだそうだ。

若返る、ベル!ハッスル・ベル!いいぞ、ベル!・・である。

容器に顔を突っ込んで、むさぼるベル婆ちゃん。

もう目元まで隠れてしまって、顔が容器になっている。

こんなに、夢中になってくれている。

って・・どんどん顔を突っ込んでるよ?

取れなくなったりしないかな~って、心配しちゃうくらいだ(笑)。

そんな金のヨーグルトに夢中になっているベル婆ちゃんの動画を、

夢中になって観ている。

あ~、幸せだな~。

 

ベル婆ちゃんは金のヨーグルトが大好き

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我家が作る「金のヨーグルト」は

動物達にも評判が良いと聞く。

ヨーグルトを定期的にお届けする「定期便」をご利用のお客様の中にも

人のみならず、ペットの皆様まで

届くのを楽しみにしてくれている、というお話を聞き、

つくづく「あ~、幸せだな~」と感じる。

本能的に「これは良い!」って思ってくれているのかな~とか

前向きに想像する。

上記の動画の「ベルちゃん」も、そんな金のヨーグルト大好き犬の一人(匹)。

「ベルちゃん」なんて呼んでいるけれど、

犬年齢では80歳くらいのお婆ちゃんなのだそうで、

私より40歳も年上の大先輩さんだ。

「ベル婆ちゃん」である。

普段は寝心地の良い座布団の上で、ちんまり寝っ転がって

何事にも無気力、ほぼ寝たきりで、ちょっぴりボケ老人でもある

ベル婆ちゃんなのだそうだが、

飼い主さんが、金のヨーグルトを冷蔵庫から取り出した瞬間

普段からは想像も出来ないような

瞬発力を発揮して「わん!わん!わお~ん!」と

金のヨーグルトに走り寄って来るのだそうだ。

若返る、ベル!ハッスル・ベル!いいぞ、ベル!・・である。

容器に顔を突っ込んで、むさぼるベル婆ちゃん。

もう目元まで隠れてしまって、顔が容器になっている。

こんなに、夢中になってくれている。

って・・どんどん顔を突っ込んでるよ?

取れなくなったりしないかな~って、心配しちゃうくらいだ(笑)。

そんな金のヨーグルトに夢中になっているベル婆ちゃんの動画を、

夢中になって観ている。

あ~、幸せだな~。

 

2021 あけましておめでとうございます!

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明けましておめでとうございます!本年もどうぞよろしくお願い申し上げます!

 

2021年は、色々な意味で堪える事からの始まりです。

昨年に引き続き、コロナ禍の忍耐もさることながら、

このお正月は、強烈な寒波に耐え忍んでおりました。

もう、なんというか、寒すぎました。

ほんのり青白い空と雪が、牧場を上から下まで覆いつくして

音もなく、分子レベルで・・いや、原子レベルで全ての動きが

止まってしまったような空気感でした。

 

そして、この寒波の攻撃がひたひたと始まったのです。

まず、寒波が狙いを定めたのは「給湯器」でした。

お台所やお風呂等々、お湯を使っている最中から

「給湯エラー」の表示が点滅しだして、三谷家の度肝を抜きました。

使用中に、屋外の配管が凍り始めるという荒業でした。

さすがに、使っている間は水の流れがあるので、

この状態で凍るというのは初めての事でした。

これは、お湯を含ませたタオルを巻き付けてなんとか凌ぎました・・・。

「寒波、やるわね・・!!」

敵の力量を目の当たりにした瞬間でした。

そして、敵のさらなる攻撃目標は

「搾乳機」「牛の水飲みカップ」「洗濯機」という牛舎の3種の神器でした。

早朝、牛舎に行ったら既にカチコチに凍り付いていました・・。

凍結防止で水は流しておいたし、作業室ではストーブも点けておいたのですが。

温度計を見ると「マイナス19度」・・。

「完敗だぜ・・。寒波君に完全敗北。」

もう、なす術も無く佇んでしまいました。

でも、ただ佇んでいると凍死しちゃいそうになりますので

すぐさま「ウ~!!ウ~!!」と唸り声をあげつつ

内臓を鼓舞するのでした。(唸ると体の芯が結構温められる)

 

こんな寒さの中でも、牛達は実に悠然としていて

「今は堪えて、堪えて、堪えるんや!!」って優しく笑ってくれたのでした。

ため込んでいる運を一気の使う年が2021です。

とても楽しみです。

マップとオージー

お母さんが一緒。

お父さんも一緒。

だから姉妹で、

だからっていう訳ではないだろうけど、

2頭ともジャージー牛では珍しく、白茶のまだら模様。

マップが生まれた時は

初めて見る白茶のコントラストに見とれて、

小さな横腹をゴシゴシ拭きながら

まるで世界地図を広げているようだなって思って

それで、マップと名付けた。

オージーが生まれた時は

「今度生まれてくる子は、牛床に空きが無いから

 雌であっても、家には置いておけないからな!」と

断言していたのに、

やっぱり、その白茶のコントラストに悩殺されて

「え~、今日生まれた子牛は~、我家で頑張ってもらう事にしました~」と

電光石火の掌返し!で、三谷家の仲間になった。

あんまり鮮やかな掌返しで、笑ってしまった。

そして、ヨーグルトの定期便のお客様が

オーストラリア大陸みたいな柄ですから、オージーという名前はいかがでしょう?」と言って、素晴らしい名前を付けて下さった。

マップもオージーも、その特別な容姿と

気高くもチャーミングな瞳で、

長らく「三谷家の姫」として君臨していた。

けれど、どうやら、この姉妹は遺伝的に受胎しにくいようで

2頭とも、なんだかんだ言って2年も空胎で

子を産まないから、どんどん搾れなくなって

要するにに経営的にはお荷物になってしまった。

そして、とうとう手放す決断をするに至った・・。

雫石の中屋敷さんが、大きなトラックで2頭を引き取りに来た日・・。

前々から覚悟していた事なのに、その日は突然やって来たように思えた。

マップもオージーも、トラックに載せられたところで

「いやだよ!帰る!」と言って、牛舎に引き返そうとしていたけれど、

ロープで括られていて、思うようにいかなくて

じっと私をみつめた。

中屋敷さんの所に行くのなら、それが1番なのよ」って思ったけど、

マップとオージーには、言わなかった。

2頭がいなくなった牛舎は、酷くスッキリしてしまった。

もう世界地図もオーストラリア大陸も、ない。

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