岩手県九戸郡洋野町
洋野と書いて「ひろの」と読む。
この世帯数6800程の海沿いの田舎町に
麻布で高級イタリアンのお店を経営されている
片岡護シェフがいらっしゃった。
片岡シェフはテレビや雑誌でもよくお見かけする方で、
著書も多く、名実共にとっても有名な方なのだ。
ちょうど1年前、
洋野町の特産品をもっと普及させたい。」
という声があがった。
そこで「はまなす亭」という定食屋さんのおかみさんが
「ホヤ貝は、お刺身や酢の物でしか食べた事がないけれど、
 イタリアンなどでは使えないものでしょうか?」という
提案がきっかけとなって
何と、片岡シェフが直々にお見えになって、
直々に「ホヤ・イタリアン」を教えて下さるという事態にまで発展したのだ。
ところが、昨年の震災で
舞台となるはまなす亭も洋野町の多くも流されてしまったので、
一時は頓挫してしまったこの企画だったが、
はまなす亭さんの復活・底力と、関係者様や片岡シェフによって
早くも1年後に、リベンジを果たしたのだ。

片岡シェフの手によって
ホヤも最高イタリアンに変身して大変満足だったに違いない。

さらには、その日偶然上がってきた「ナマコ」までもが
片岡シェフによって、最高イタリアンと化したのだった。
ナマコにとっても一生に一度のサプライズだっただろうな。
「俺が・・イタリアンに!?」みたいな大抜擢で
パスタの中でクリンと恥ずかしそうに丸まっていた。

アサリ貝に至っては、パスタの中で「Vサイン」をしていたのだから
その気持ちお察し申し上げます。
いまだ殺風景な洋野町に、沢山の笑顔が出来上がった。
自慢の特産品が、シェフによって、さらなる可能性を持つのだから
これほど素晴らしい事は無いと思う。
でも、この日1番笑顔だったのは
飛び入り参加した三谷次男だったと思う。
美味しい物と沢山の人に囲まれて
お調子者魂に火がついて止められなくなっていた。

長男はガツガツと食べては
「おかわりー!」と叫んでいた。

三谷家の「金のチーズ」も
片岡シェフのご好意で
ついでにパスタにして下さったので、
家族4人、ナマコさながらに「大抜擢」にはしゃぎ、
アサリ同様に「Vサイン」をしたのだった。