サンレイポケット号

競馬のイメージって、

「オジサンが耳に赤鉛筆を挟んで

スポーツ新聞を左手に、右手で頭を掻きつつ

それはもう、必死の面持ちで馬券を選定している」というもの。

とろこがである。

その昭和なイメージの競馬像が180度回転、

なんというロマン、なんという煌めき!と思うようになった。

 

我家のヨーグルトをもう10年以上も食べ続けてくれている

北海道の馬牧場の方がいらっしゃる。

その方が育てておられるのは競走馬のサラブレットで

牛と馬の違いはあれど、同じ生き物を育てるお仕事の関係から

また、4人の男のお子様を育てあげられた実績から

私は勝手に「先輩」または「お姉さん」と慕っている。

 

馬の世界では日本三大牧場というべく大牧場が存在していて

大牧場では、馬の血統から育成調教まで、その全てを「エリート」として

育てあげる事ができ、当然ながら「勝てる馬」を多数輩出しているらしい。

私の「お姉さん」である、この方の牧場はご家族で経営なさっている。

「エリート馬」とは一線を画す「のしあがり馬」なのである。

 

10月31日に開催された「天皇賞」に

お姉さんの、のしあがり馬「サンレイポケット号」が出走するという。

ご家族経営の小さな牧場から、重賞レースに出馬できるという事が

奇跡に近いのだと、お姉さんは興奮気味に教えてくれた。

そして、私は初めて競馬を観る事となった。(テレビで)

始めて馬券も買った。もちろんサンレイポケット号の馬券だ。

 

テレビでは、1~16の馬達が、ゆっくりと出場してくる。

サンレイポケット号は8番だ。

サンレイポケット号が出てきた瞬間、筋肉の起伏の美しさと

お顔の色気に息をのんだ。

そして、小さな牧場出身のサンレイポケット号が、

大きな牧場のエリート達の中にあって、やたらと肝の据わった足取りなのが

妙にお茶目に見えた。

レースが始まると、勝負はほんの数分で決まるのだけど、

その数分間が、ドラマの中、まさに「ハイライト」の数分間なのだ!!

サンレイポケット号は、4着という快挙を成し得たのだった!!

人気と実力の3頭のすぐ後ろまで迫る、力走だった!!

(勝てるわけないのよ~。出れるだけで、快挙なんだから!って

 お姉さんはおっしゃってたけれど)

 

小さな牧場から、「のしあがった」サンレイポケット号に

すっかり心を掴まれてしまった。

競馬の世界は、生まれ、買い手、騎手、コンディションなどなど

様々なものが一筋の真っすぐな、つながりを見せた時にのみ、勝てるそうだ。

その数分間の煌めきを紡ぎだすための道のりを思った時、

もうすっかり競馬の虜になってしまう。

・・・赤鉛筆とスポーツ紙、買って来よ。