「春の味」になりました

3月17日。
まるで永久凍土のようだ、と思っていた雪が
随分と縮んだな〜と思っていたら、
所々に茶色の大地が見え始めた。
そして、心待ちにしていたフキノトウも咲き始めた。

「春ですか?」と遠慮しがちに顔を出している
フキノトウが可愛い。
そして「春ですよ!」の声が牛舎にまで届いたようで、
その日の夜に
こちらも、待ちに待った子牛が誕生した。
予定日から1週間経っているので、今か今かと待ちくたびれていたのだ。
産気づいてからは、家族全員で母牛の様子を見守った。
「あと1時間程で出てくるっけよ。」と
カツオさんが予測してから、ピッタリ1時間後に
元気な赤ちゃんが出て来てくれた。
子供達が「生まれたよ!生まれたよ!」と
興奮しながら、夫の指示に従って
濡れている子牛の体を乾いた藁で丁寧に拭く。
「こうして、体を擦ってあげると、赤ちゃんは体が温まって
 安心してもっと元気になるんだよ」と夫が言うと
「うん、うん!」と真っ赤なホッペで次男が何度も頷く。
そして「赤ちゃん、怖くないよ。オバケなんていないからね。」
と言いながら、頭から足の先まで見事に拭きあげた。
長男が「和君、どいて!藁布団だよ!」と大量の藁を
子牛に被せると、子牛が驚いて
ピョコンと立ち上がろうとして、コテっと反対側に倒れこんだ。
「わああ〜〜!!立とうとしてる!きゃあああ〜〜!!」と
さらに興奮状態の子供達。

出産後はすぐに搾乳をして、
その初乳を哺乳瓶で飲ませると、
子牛は生まれてまだ1時間も経っていないのに
ちゃんと吸い付いてきて、グビグビと音を鳴らして
1リットル程も飲んだ。
「お母さん、なんで赤ちゃん知ってるの?」と
不思議がる次男に
「あんた達も知ってたよ。ちゃんとね。」と答えた。
「・・・へえ〜。」と嬉しそうな表情。
「お母さんも僕たちを生む時大変だった?」と聞くので
「た・い・へ・ん・だった!!」と答えると
「・・・うふ。」と意味ありげな笑顔を見せた。

こうして、ドタバタしつつも
奥中山は春になりました。
金のヨーグルトも「春の味」になりました。