迷子のすずめ

我が家には間抜けな感じの薪ストーブが有る。
5年前、エクセルハウジングさんに建設をお願いした時に
「暖は絶対、薪ストーブにしたいんです!!」
と、「ロハス」への憧れむき出しで、設計の段階から
煙突口を付けてもらったが、いざ入居して
いざ薪ストーブを購入して、いざ設置となった段階で
(エクセルさんが)予定していた設置場所には
もう既に食器棚が鎮座していた。
その為、ストーブは食器棚から程よく離され、
それに従ってストーブから伸びる煙突は
カクンッカクンッと不自然な経路を辿って煙突口に抜けていくという
大変無計画な構造となったのだった。

当時の三谷家は
「う〜ん、ちょっと変だけど・・・いいかな!」と
何となく「凄く変」を軽視したけれど、
ここ数年で違う問題が出てきた。
それは、煙突を支える鉄パイプの中に巣を作っている
スズメ達である。

毎朝この鉄パイプから顔を出して飛び立っては
昼過ぎに帰って来て、可愛らしい小さな横顔を見え隠れ
させる小鳥達は、三谷家の大事な隣人だ。
そして、そんなスズメ達が、たまに間違って
この複雑怪奇な煙突の中に進入してしまうのだ。
暗くてカクカクシカジカな迷路のような世界・・
結局ストーブの中で
「ちいっ!ちちいっ!」ともがき、蓋を開けたとたん
部屋の中をグルグル飛び回った挙句
窓の外へと抜けていくのだ。
帰り際に
「もう、こんな煙突やめてよね」と舌打ちされているような気がする。
秋も深まり、冬支度の一環として
煙突掃除をした後は決まって
迷子スズメが部屋中を飛びまわっている。
「もう、こんな煙突やめてよね」と言われる度に
「はい、いずれは・・・」と有耶無耶な返事をする
三谷家である。