ブラン・ブエル・トット

お仕事でミスをした。
小さなうっかりミス。
我が家では出荷業務の一切を
妻が執り行っている。
だから、妻が「ぼんやり」すると、お客様にご迷惑をお掛けする事に
なり、結構気を張って仕事をしているつもりだ。
でも、たまに、定期的に
駄目だ。
やらかしてしまう。
しかも、やらかしはじめると、結構連発するのが「ミス」というものの性質
だったりする。
お夕食を家族で済ませた直後に
電話が鳴り、妻のミスが発覚した。
お夕食中は賑やかだった妻だが、
「乙女心と秋の空」
一変して空気はしょんぼり冬空に・・・。
「どんなに気を使って、失敗しないようにと
 思ってやっていても、なんで、こう、私は駄目なのか。
 『人間だもの失敗する事もあるよ』って、言うけどさ、
 言い訳なんてしないよ、お母さんさ、駄目なんだよね。
 どうして、あんなポカミスするかな〜・・・。
 ポカミス過ぎて、今後の予防策すら浮かばないくらいのね、
 初歩的な馬鹿野郎なんだよ、お母さんって奴はね。」
などと陰陰滅滅。
失敗に申し訳ないと思うと同時に、
自分に情けなくて、悲しくて、悔しくて
涙がポロポロと流れる。
「お母さん、泣いてるの?」
と長男。
「お母さん、泣いてるの。馬鹿だから。」
と妻。
松下幸之助氏は「失敗は無くせる」と言っていた。
嘘だもん。無理だもん。
するとそこに次男がやって来た。
妻の右肩にペタリと
何かの食品表示シールを貼った。
「お母さん、シールあげる。」
子供達は今、シールを見ると取り合いをする程、シールに価値を見出している。
「ありがとう、これ何?」
「うんとね、これを押すとね、
 『ブラン・ブエル・トット』って鳴るの。」
「ブラン、ブ・・?トット??」
「ウン、しょしたら元気がでるって訳なの。押してみて」
と言って、4歳の小さな手が裏表示シールをペタンと押した。
「ね?ブラン・ブエル・トット〜!
 元気出たでしょ?」
ありがとう、元気でた。
次は頑張るよ。
黒のロングカーディガンの右肩に白の食品表示シール。
しばらく剥がせません。
使い勝手の良いカーディガンなので、
きっとこのまま外出します。
これは、元気が出る魔法のシールだから。