引っ張る


我が家の牛は全部で17頭。
牛達が毎日とっても楽しみにしているモノ・・
それは「おやつ」である。
テンサイ糖の絞り粕をペレット状にした
「ビートパルプ」は香りからして甘く、
牛達の大好物。
食べ過ぎると太るので、我が家では本当にちょっとだけあげます。
そんな「おやつ」は1ヶ月半程で1.5t程消費する。
凄い食べるじゃんっ!
でも、牛にとっては本当にちょっぴり。
先日はビートパルプ1.5tを運びに来てくれたトラックが
雪にはまって動けなくなってしまった。
抜け出そうと、もがけばモガクホド、後輪が雪を掘下げて
さらに抜けれなくなる。
蛭子能収さんによく似たトラック運転手さんが
小さなスコップで雪を掻いたところで、どうにもならない。
とうとうワイヤーで繋いで、ホイルローダーで引っ張り上げる
事になりました。
ホイルローダー運転手・・Kさん(ご近所さん)
トラック運転手・・・・・蛭子さん(通称)
応援&冷やかし&役立たず・・・妻
「せ〜の!」
ホイルローダーが引っ張ると同時に、トラックのアクセルを踏む。
蛭子さんとKさんのコンビネーション!
トラックはゆっくり・・・動き・・・
も少し・・ってところで、
コロン!と元の穴に嵌る。
「うんとこしょ、どっこいしょ」
まるで「大きなカブ」のお話のような光景。
妻は横でスコップ片手に
「行ける、行けるよ〜〜〜!!
 あ〜〜〜〜〜!!!ああ〜〜〜!!!
 だめだったね〜〜〜〜!!!」
と実にケタタマシク応援。
繰り広げられる攻防戦。
そして・・・
ゆっくり、ゆっくり、タイヤが動く・・・
Kさんが絶叫する!
「今だ〜〜!アクセル踏め〜!」
次の瞬間だった。
トラックは物凄い勢いで突破し、
ホイルローダーに激突した!!!
ドッカ〜ン!!
「あああああああ!!!」
そして・・・
衝撃で跳ね返ったトラックは
また元の穴に戻って行った。
春まで待とうか・・とか諦めたくなる気持ちを持ちつつ
繰り返す事、1時間。
感動の瞬間だ。
トラックがその大きな体を上下に揺らしながら
ようやっとの思いで這い出てきたのだった。
言葉も無く喜び合う3人でした。
元気でな、気をつけて、腕を大きく振って
お見送りした後、
「あいつ、大丈夫かな・・。また嵌らね〜かな〜・・」とKさんが
心配そうに呟いた。
念の為、敷地から出るまで見届けよう、
Kさんと妻はトラックの後を追いかけて愕然と致しました。
また嵌ってる・・・・。
「おいおい、第2幕があったのかよ・・・」と
しつこいドラマの展開に辟易した3人でした。
おしまい。