子牛誕生

9月10日
「今日は・・子牛が産まれました」
夫がつぶやく。
「・・うそお〜〜〜〜!!
 まだ、産んでない子いたんだあっ!?」
妻、驚愕。
我が家は、春先に出産を集中させているが、
何頭かは、ポツンと季節外れのお産をする。
今年の出産はもう終わったものだと思い込んでいた。
「イチの子やで。女の子やったよ」
イチは、我が家の横綱だ。
横綱の子は、期待を裏切らず、
物凄く元気に立ち上がり、3日目にして
もう草と水を自ら食し、
哺乳瓶のミルクも「フンガッフンガッ!」と飲み干している。
横綱の子らしく、とても頼もしい。
子牛のミルクをあげるのは子供たちのお仕事。
「お父しゃ〜ん、コウシ、もう飲んじゃったよ〜!
 おかわりは〜?」と今日も空の哺乳瓶を持って
牛舎を走り回っていた。
子牛が産まれると、母牛達の雰囲気が沸き立つように思える。
みんなソワソワと牛舎に戻って来て、
搾乳してもらうと、やっと、まどろんだような顔になるのだ。
本当は、子牛の為のミルクなんだもんね。
「大事にいただいております」と
イチの目を見た。
「ふ〜っ」と大きな鼻息のイチママでした。