昨今の和牛ブームで、和牛子牛が不足しているそうで
我が家のジャージー牛に「100%和牛受精卵」を人工授精している。
ジャージーママから黒毛和牛の子牛が生まれる。
イギリス人から日本人が生まれたよ~、みたいな不思議な違和感が
感じられるが、全農さんからのご依頼によるものである。
生まれた和牛子牛は、生後10日ほどで全農さんが引き取りにいらっしゃるので
我が家とは、ほんの僅かなお付き合いとなる。
10日ほどのお付き合いとはいえ、哺乳したりなど、お世話するのだけれど、
今回生まれた和牛ちゃんは、今までに無いパターンの子だった。
生まれて30分も経たないうちに
ぶるぶると4本の足で地面を掴むように立ち上がり
どっかん、どっかんと子牛部屋の壁に体当たりして
「な、なんだコイツは~~!?」と驚愕した。
パワフル!パワフルすぎる!部屋が壊れる、ドリフのように!!
そして、母牛が1番最初に出してくれる
「初乳」を飲ませてあげようとした。
通常の牛乳とは明らかに異なる黄身色のトロリとした初乳。
これには母牛から子牛への最初のプレゼントである免疫力が詰まっていて
出来ることなら生後1時間以内に、必ず飲まないといけないのだ。
「よ~し、よし。ほ~ら初乳だよ~」
普通、生まれたばかりでも、子牛は本能で初乳に食いついてくるのだが
この和牛ちゃんは、あっちこっち顔をふらつかせて
ちっとも喜んでいないみたい。
それっと口の中に半ば無理やり哺乳瓶を突っ込めば、気が付いて飲むかと思えば
ちゅ~ちゅ~ちゅっ!ぼえええええ~~~!!
と大袈裟に横を向いてしまう。
何度やっても「ぶへえええええ~~~!!」とそっぽを向く。
う~ん、なぜだろう??
あんなに「暴れる君」だったのに、お腹が空いていないのかな・・?
以前、先天的障害があって肛門が開いていなくて、お乳を飲めずに
死んでしまった子牛がいると聞いたことがあるけれど・・・それかなあ・・?
しかしながら、翌日にはちゃんと立派なう〇こが発見された。
目が見えない?もしかして?
しかしながら、目の前で手をヒラヒラ振ったところ
これまた大袈裟にも程があるくらいドンガラガッシャ~ン!と飛び退いてみせた。
う~ん、なんだこの子は・・?
それから毎朝晩1時間弱かかって和牛子牛ちゃんにミルクを飲ませた。
飲むというか、偶然流し込むというか、
チュウチュウと吸い付いている割には、全然飲めていない。
そのうち「ぶへえへへえへっへ~!!!」と横を向く。
飲んでもらわないと、衰弱してしまう。
哺乳瓶と和牛ちゃんの首根っこを掴んで
曲芸師のように「ぶへええ!」と横を向くのに合わせて哺乳瓶を
操縦する。「よっ!」「ほいっ!」「そらきたっ!」と
子牛と共にクネクネ動き回る日々。
そのうち、和牛子牛ちゃんの「飲み方」が少しづづ上手くなってきた。
お腹は空いているらしいが、上手く飲めない。
つまり・・「へたくそ」なだけだったのだ。
おっぱいを飲むのが下手って、あるんだな~。
そんな事でいいのかな~。
必死な顔して、効率悪く吸い付き
思っているよりもミルクをゲットできず、
さらに神経質な性格が重なり
「ぶべべべぼへえええ~~!」と横を向く。
でも、まあ、それでも日々進歩していってる。
ちょこっとづつ、上手くなってる。
才能が無くても、必死にトライする姿に
なんか、私の方が「頑張ろう!」って気になるんだよな~。