お客様に

我が家の乳製品には
「定期便」というシステムがあり、
これは1年間ヨーグルトを割安でお届けする
というものだ。
長くなれば
お電話やお手紙などで交流を深めさせて頂けるようになり、
お顔は拝見した事はないけれど、
とても近い存在のような気持ちになる。
最近、ちょっとしたドラマがあった。
定期便のお客様で馬を飼っていらっしゃる方がいて、
悲しい事に、母馬が子を産んだとたん、亡くなってしまったのだそうだ。
馬は母馬から直接乳を飲むのが一般的で、
その母がいなくなってしまうと、
「どうやって乳を飲ませたらよいのだろうか!?」と
緊急事態に陥ってしまったそうだ。
そこで「三谷さんの子牛が哺乳瓶で乳を飲んでいると聞いたので
お電話してみました!牛の哺乳瓶って、何ていう商品名でどこで買えばよいのでしょう?」
というお電話を頂き、我が家もハッとして困惑してしまった
「この辺りでは、必ず売っているものです。
 何て名前??え〜っと、え〜っと。ベコ(牛)の乳飲ませる奴っていうんですが・・・。」
そこで、そこら辺のお店に走り
「馬に乳をあげたいのだ」とお店の人に説明すると
「ベコの奴でしょ?」
「う〜ま〜????」
「うま〜・・・。」
同じような動物だけど、かなり違う事だけは明確だ。
牛の乳はデカイので、馬に与えた時に上手く飲めるのかな〜・・
と皆で頭を抱えてしまった。
なんとかお役に立ちたいと思った。
とりあえず「小は大を兼ねる、だろう」と
1番小さい哺乳瓶を選び、子馬の元にお送りしたのだった。
幸い子馬にはすぐに乳母がついたそうで、元気にしているという事だった。
「この哺乳瓶は、こういう時がまた起こった時のために大事にとっておきます。」
とおっしゃっていた。
いつもヨーグルトをお召上がり頂いて
感謝しているものの、形や行動で
「感謝」を伝える事は、なかなか出来ない。
だから、こうしてお電話で相談して頂き
曲がりなりにもお役に立てたのかな、と思うと
妙に嬉しかった。
それにしても、
あの「ベコに乳飲ませる奴」の正式名称って何だろうか。
お店の人に聞いたところ
「ベコに乳飲ませる奴だよ〜。」と言われたので
深く詮索する気も失せたのだった。