イレ牛ラー


3月28日
牛の出産がありました。
酪農家にとって、牛の出産は
「よくある出来事」であると共に、
「あまり無い出来事」でもある
同じ出来事で同じ事象は無い。
我が家の牛舎は、牛を繋いでおくスペースが
左右10床づつ、計20床あり、
今回の母牛は、左の1番端っこ
つまり「角部屋」で出産を控えていた。
この母牛、三産目ですが、毎回「むくみ」が激しい。
オッパイなどが、ポンポンに張る系統なのだ。
巨乳なのだ。

ある日、気がついたら
母牛が両前足を投げ出して苦しそうに倒れていた。
「具合悪いんだろうか・・・?」
夫婦2人で、なんとか、かんとか
起こしてやったが、しばらくボンヤリ・・・
そのうち、モグモグと美味しそうに草を食べ始めた。
様子を見る事にしたその晩、
もしかしたら夜中に生むかもしれないと
深夜、牛舎に行って見てみて
ビックリ。
再び、両前足を投げ出してひっくり返っているではないか!!!
「一体、どうしたんだ!?原因は何だ!!
 何が起こったんだ!?」
わ〜わ〜と慌てふためく三谷夫妻。
「とりあえず、起こしてあげて・・・それから、それから・・」
などと、バタバタしていたら、
その慌てっぷりに驚いた母牛が
渾身の力でドッカン、ドッカン暴れつつ自力で立ち上がったのだった。
「わ〜!!!立った、立っちゃった!!」
獣医さんを呼ぼうか否かと揉めているうちに
今度は、母牛が悠長にお食事を始めた。
なんだか、大丈夫そう・・・。
そして、三谷の不安をよそに、
翌朝、ケロッと、ペロッと元気な赤ちゃんを出産したのでした。
原因は、大きすぎるオッパイのせいで
寝起きが不得手になっていたところで、
さらに「角部屋」という悪条件。
(たいして悪条件でもないんだけどな・・・)
超巨乳のせいで、角部屋でひっくり返る羽目にあった
牛さんを見て、貧乳もいいもんだと思う今日この頃でした。